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砂防ソイルセメント工法の配合試験
現在、日本で実施されている砂防ソイルセメント(※1、2)工法(※3)の配合試験は、当社で考案した試験手法が採用されています。
これまで、全国で500箇所、160万m³を超える砂防ソイルセメント工法の配合試験を実施し、その全てにおいて、要求品質を満たしています。
※1:砂防ソイルセメントは、砂防事業を推進する中で現地発生土砂を有効活用するために開発されたもので、施工現場において現地発生土砂とセメント等を攪拌・混合して製造する材料のことです。
※2:私達の言う高強度砂防ソイルセメントとは、密度を高めることを目的とした配合ではなく、セメント水和反応が活性化できる配合{土砂、固化材(セメント等)、水}によって、その圧縮強度が2,000kN/m²を超える材料を言います。
※3:砂防ソイルセメント工法とは、砂防事業において、砂防ソイルセメントを活用して、砂防堰堤や護岸を施工する工法のことです。



これまでの実績に基づき、セメント量と強度の関係を推定することで、効率的な配合試験が可能となります。
当社では、年間80箇所を超える土砂の配合試験を実施し、そのデータを統計解析することで、その精度を引き上げています。
また、砂防ソイルセメントの特徴は、セメント水和反応によって強度を得ようとするものであり、地盤改良等で実施しているソイルセメントにはない配合において、水量を管理することが重要となります。
砂防ソイルセメント工法適応性評価
『この土砂で強度は出るだろうか』『早急に砂防ソイルセメント工法を活用した堰堤の設計を行いたいが、その工法に対する現地土砂の適応性や安定計算を行う場合の単位体積重量の設定はどうすればいいのか』というような、お困り事はありませんか。
当社では、これまでの実績から得たデータを基に、短期、低コストで現地土砂の適応性を評価する簡易的な適応性評価試験を実施(※4)しています。
※4:適応性評価試験で適応と評価された場合においても、本施工前には必ず配合試験を実施いたします。
品質確保への不安
一般的な砂防ソイルセメント工法の品質管理方法では、次のような不安要素があります。
品質管理用供試体は、材齢28日強度で管理するため(H23砂防ソイルセメント設計施工便覧)、もし材齢28日強度試験で目標値を満足しなかった場合、どのような対処をするのか(現場の施工は相当進んでいる)。
砂防ソイルセメント工法は、連続打設が可能なため、大幅な工期短縮が可能です。
次に示す打設工程図(実績)事例は、内部材数量1835㎥の砂防堰堤が、施工日数12日(施工開始日8/6、施工完了日8/22)の実例です。
この事例の場合、最初に作製した供試体の材齢28日強度は、施工完了後に判ることになります。前述の不安要素は、このような場合、材齢28日強度が目標品質を満足しなかった時にどうするかという、重要な問題を提起しています。
通常は、本工事前に現地土砂を用いて、室内配合試験を実施しており、適切な施工を行っていれば、その品質が満足しないような事態は発生しません。
しかし、まれに現地土砂の性状が室内配合試験時に採取した土砂と異なった場合や、工事中の洪水等により、その性状が変化した場合など、強度や単位体積重量が要求品質を満足しなかったなどの報告もあります。
品質管理クラウドシステムとは
前述のような不安を解消するためには、砂防ソイルセメント品質の確認を材齢28日強度だけに頼らず、出来る限り製造した段階、つまり、供試体作製時や、製造前の段階で行う事前確認試験等によって、管理することが望ましいと言えます。
品質管理クラウドシステムは、施工業者の皆様が行う品質管理のデータをクラウド上でリアルタイムに管理し、効率的な品質管理のお手伝いをしようとするものです。
無論、クラウドシステム導入により、砂防ソイルセメント工法の品質を保証するものではありませんが、当社は、国内で4000ケースを超える配合試験データ、500箇所を超える施工指導経験を持っており、このノウハウを、本品質管理クラウドシステムに活かした品質管理データのチェックにより、事前に重大な問題を回避するという目的を果たしています。決して、品質管理データを取りまとめるだけではありません。
例えば、当社の品質管理クラウドシステムでは、一見大きな意味がないような管理項目一つ一つに、当社のノウハウによる一貫した管理チェックが行われています。